Love story of the truth
こんな楽しい時間はあっという間に過ぎて行った。

「今日、お客さん来ないな。」

呟いたトオルさんが店の外を覗きに行って、すぐに戻って来ると・・・

「今日は、客足が少なそうだし帰っていいぞ。」

私に言った。

「え・・・?でも・・・」

戸惑う私に、

「いざとなったら、すみれに手伝わせるから。幸永とラブラブして来い。」

そう言って豪快に笑った。

「気にしないの!」

ウィンクしてくれたすみれさん。私は二人の言葉に甘えて店を後にした。
歩くのが遅い私のスピードに合わせて、歩いてくれているだけで嬉しい。

「なぁ・・・腹減らない?」



「私もお腹、空いたし何か作ろうか?」

ユキを見上げた。

「それじゃ・・・パスタ食いてぇ。」

へ?パスタ・・・?
私、作れない・・・。


動揺している私にユキが顔を覗き込んでくる。
なんて・・・言えばいい?
無難に、苦手っていうか素直に作れないっていうか・・・

「苦手・・・とか?」

くだらないプライドで、悩んでいる私にユキは私の思っている事を察したかのように聞かれて・・・素直に頷いた。

「仕方ねぇな・・・俺が作ってやるよ。」

思いがけないユキの言葉に、思わずユキを見上げた。
絶対に、
(そんなものも作れねぇの)とかって言われると思ってた。

「ユキ・・・作れるの?」

「こう見えても学生の時に洋食屋でバイトしてたんだよ。だから、簡単なパスタや洋食なら作れる。」

以外・・・。
てっきり・・・学生時代はホストとかしてそうなイメージ?

「お前さ・・・以外って思っただろ?」

慌てて首を横に振る。

「顔に出てる。
ユズってさ・・・百面相、得意?さっきから、コロコロ表情が変わって面白い。」


「そんな・・・百面相してた?別に・・・得意とか・・・そんなんじゃ・・」

「可愛いから・・・許してやる。」

そう言って、頭を撫でて笑ってくれた。

ユキって・・・こんな風に笑うんだ。
そう思ったら嬉しくて堪らなくなった。
私だけに見せてくれる笑顔は、あどけなさの残る幼い感じで・・・胸が大きく高鳴った。




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