Love story of the truth
目が合う度に、俺が微笑むとすぐに目を逸らされる。
逸らされた視線はすぐに、他の客に向けられる。キラキラ眩しい営業スマイルも、今は他の客のものになっていた。
それが苦痛で、彼女が見ていない間にトオルさんにだけ挨拶をして店を出た。

店を出て、車を停めてあるコインパーキングに向かって歩いていると一人の女にナンパされた。
少し派手な女だった。

「今日は、ごめん。だけど、また今度でいいなら一晩だけ付き合うよ。」
そう言って、その女と連絡先を交換した。

俺は、いつも女には本名は名乗らない。セフレに対しても、こういう女達にも。
“ユウ”という名前で通している。
本名を名乗ってしまったら、縁を切る時も一晩だけでも面倒な事になるのが嫌だからだ。

女と別れてから、またトオルさんのバーに向かって歩いていた。
いつもなら、連絡先も交換せずにホテルに行ってヤッテいただろう。
だけど、今日はそんな気分にはなれなかった。
彼女の事が頭から離れなくて、鷲掴みにされた心はまだ離れようとしない。

トオルさんのバーがあるビルの壁に寄り掛かって座った。

（俺は・・・何をやってんだ・・・。ここで待っていて、彼女が出てきたら何て言うんだよ？いきなり・・好きだって言うのか？そもそも彼女を好きなのか・・・？それすらわからねぇのに・・・。）

こんな事を答えの出ないまま何時間も・・・彼女を待っていた。



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