夜をすり抜けて

眺めながら、運転手が意外とイケメンであることに気づいたりする。


白いライトに短めの茶髪が透けて綺麗だった。


片耳に小さなピアスが光っている。


大型トラックの運転手らしいのかそうでないのか、長身で細マッチョな感じ。


陽に灼けた精悍な顔には、それでもどこか少年っぽさを残していて、首から下げたタオルでときどきグシッと汗をぬぐっていた。


…ふうん。




眺めていると、いきなり本人に怒鳴られた。


「おーい、妹!」


「へ?」


「この伝票持って、そこの事務所行ってハンコもらって来い」


「は、はいっ」


トラックに駆け寄り、指令を受けたレンジャー部隊のような返事をすると、そいつはクスッと笑った。


う…。

何となく不満だったが、暇なので取りあえず行く。

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