夜をすり抜けて
「久し振りだな」
「おう、東京でもなかなか会えないのにこんなとこで会うとはな」
祐二さんという人はそう親しげに話しながら、樹の横の席にカレーライスの乗ったトレイを置き、そこに腰を下ろした。
「お前カツカレーにしろよ。ここはカツが美味いんだからさ」
「だっけ?」
それから祐二さんは向かいに座るわたしに気づき一瞬固まって、ガバッとおもむろに樹を振り返った。
「お前マジ?」
「何が?」
「てか、まだ子供じゃん」
「へ?」
わたしに聞こえないと思うのか、祐二さんは小声でささやく。