夜をすり抜けて

両側の棚にぎっしりと段ボール箱が積まれた薄暗い通路を行くと、その事務所はあるらしい。


壁の時計を見上げると、時刻はもう七時半を回っていた。


お母さん、心配してるよね…。


今日は部活が急遽中止になったから、それを知らずにいつも通りクラブで遅いと思ってるんだろうな。


こんなことになっちゃって、ヒロミたちは知っているのかな?


知ってたとしたら、どう…思うのかな?


なんて考えてハッとする。



まだ期待してんの…?





中学入学以来ずっと一緒にテニス部で過ごしてきた仲間。


楽しいこともしんどいこともいっぱいあって
全部一緒にがんばってきた。


特にヒロミとはクラスも同じだったから仲良くて…


それはたぶん勘違いなんかじゃなかったよね。
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