夜をすり抜けて
「ああ…仕事終わった?」
「おう、搬入も荷積みも済んだぞ」
「お疲れさま」
「あとは東京に戻って客先に荷物を納めて、んで、終了だ。
真琴をやっと家まで送ってやれる」
運転席に座ると、シートベルトを締めながら彼は何でもないことのようにそう言った。
「夜になっちゃうけどな」
終了だって。
終わりなんだよ、本当に…
樹は全然平気だよね?
もう二度と会えなくても、わたしのことなんてすぐに忘れちゃう…
当たり前じゃん。うん。
あー、ダメだ。より一層病みだした。
こんなんで、わたしはホントにがんばれるのかな……?