夜をすり抜けて

「その反動で、次顔合わせたらものすごーく未練がましいことを口走りそうでさ、もしくは逆上して、ありえないほど罵ってしまうとか…。

想像すると何かリアルで怖くなって、結局俺、その紙袋渡しに行けなかったんだよな…」


ぷふっ


いや絶対笑うとこじゃなかったけれど、樹があんまし情けない言い方をするから、ついつい笑ってしまった。



「……早く選べよCD」と低い声。


あ、怒っちゃった。




「ご、ごめんね?」


「いーよ、別に…。笑ってんなら」


へ…?


「君の笑顔のためなら、僕はピエロにだってなりますよ」


「あはは、何それ? ヘンなの」

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