夜をすり抜けて
樹は何にも言わなかった。
「大丈夫だ」とも「気にすんな」とも…
うじうじ悩んでいても…いい?
考えるなって言われても考えちゃうし、答えは待つしかなくて…
今まではそれすら出来ずに、全部にフタをして逃げ出していた。
望んで期待して、それが叶わずに打ちのめされる自分が容易に想像できて怖かったから。
でも、今日はがんばって待とうと思うんだ。
だから今――すごく怖いよ。
でも湯気の向こうには心配してくれる人がいて、塩ラーメンは温かくてものすごく美味しい。
それだけでいいじゃん、と思えてくる。