夜をすり抜けて
メールをチェックして顔を上げると、樹はもう支払いを済ませて店の外を歩き出していた。
わたしは携帯を手に持ったまま走り出し、その後ろ姿を追いかける。
「樹っ」
真後ろまで追いついて呼びかけると、彼がピタッと足を止め、わたしはドスンとその背にぶつかった。
「メール来たぁ…!」
思わず腕を巻きつけて、そのまま樹の背中にしがみつく。
「お、マジか?」
うんうんと、その背中に顔をうずめたまま、わたしは何度もうなずいた。
「何て?」
「メールありがと…って。明日待ってるって」
お弁当一緒に食べよって
ずっと見ない振りしててゴメンね…って。