夜をすり抜けて
「よかったじゃん」
くっついた背中から声が響いてきた。
うん、と答える代わりに巻きつけた手に力を込める。
嬉しくってホッとして涙が出たよ。
樹はそれがわかるのか、そのままの姿勢で待っていてくれた。
ここはサービスエリアへ行き交う人々の通り道になっているから、結構恥ずかしいはずなのに、彼は背中に女の子をひっつけたまんま、じっと立っていた。
だんだん興奮状態が治まってくると、自分がしている大胆な行動に動揺する。
今わたし、樹を後ろから抱き締めているんだよね。体をギュウッて密着させて…