夜をすり抜けて

「もうちょいで荷物の搬入先に着くから、待ってる間着替えときな」


と樹が言った。


…そうだった。このスェットスーツ借りてるんだった。


ブカブカで、樹の髪の匂いがするやつ―


「あ、洗濯してから返すよ。お礼がてら届けに行くし」


「いーよ、んな面倒くさいこと」



名案だと思ったのにいとも簡単に却下され、再会の望みは絶たれた。


面倒くさいとか…傷つくよ、バカ。


うー…
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