夜をすり抜けて
―――
大きな倉庫に横付けされたトラックの中で、鞄にしまった制服を取り出して、わたしは着替え始める。
更衣室のない学校で体育の度に着替えてるから、こういうのはお手のもん。
中学入学当初はこの制服に袖を通すと大人になれた気がしていたのに、今は全然。
子供っぽくてむしろムカつく。
だけどやっぱ自分にはしっくりくるんだな…これが。
一日着なかっただけなのに、ひだのスカートについてとれない小さな染みが懐かしい。
ガチャッとドアが開き、樹が運転席に戻ってきた。
「お」
制服姿のわたしを見て「いいじゃん」なんて軽く言う。