夜をすり抜けて
別れのとき
窓の外が見なれた景色に変わってきて、だんだんと家に近づいているのがわかる。
次の信号で右折して、その先を左折したら、門燈が灯っているはずだ。
そこがうちだよ、樹――
やがてトラックが静かに我が家の前に止まった。
「俺も挨拶するわ」
と樹が車を降りていく。
わたしも降りなきゃと思っていると、外から彼がドアを開けてくれた。