夜をすり抜けて

タン! と地面に飛び降りて、樹を見上げる。


「ありがとう、樹」


「うん。元気でな」


「樹も」


「お」


ニコニコッと笑ったその笑顔に、胸がキュンと締めつけられて…


わたしは思わず手を伸ばして、樹の指先に触れた。





「ギュウッて…して」


「えっ」


「がんばろうの合図」





樹は一瞬驚いたようにわたしを見つめると、そっと腕を伸ばした。

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