夜をすり抜けて



次の瞬間――




大きな手がわたしの頭を抱えるように胸に抱き寄せた。


そうして、大切なものを守るように両腕で包み込む。




へ…? だ、抱き締められている?





「真琴、ありがとう」





―――低い声がそうささやいた。




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