夜をすり抜けて
「真琴~っ、お帰り~!」
そのとき、呼び鈴も押してないのに、玄関からお母さんが飛び出してきた。
車の音をずっと気にしてたんだろうな。
お母さんはわたし達のところに駆け寄ると、開口一番こう言って口を尖らせた。
「お父さんとずっとケンカ中なんだから」
「えー…」
「心配なんだか、何で真琴を迎えに行かなかったって、ずうっとブツブツ言ってくるんだもん」
玄関に目をやると、ドアの前で手を振る妹の隣で、お父さんが腕を組んで仁王立ちしていた。
わ、この人にわたし今から怒られるんだ。