夜をすり抜けて

目が合ったのでとりあえずニコッと笑って見せると、お父さんのしかめっ面が途端に崩れ、ホッとしたようにグダ―ってなった。


おっ、セーフか!?
あ、いや、心配かけてゴメンね、お父さん。


あとでちゃんと謝っておこう。



横ではお母さんと樹が、お互いにペコペコと恐縮しあっている。あはは。






「じゃあ真琴、俺行くわ」



樹が爽やかにそう言って片手を上げた。


運転席に上ろうとする彼に、わたしは思わず駆け寄る。


見上げる瞳が、きっと今潤んできてる…


グッとこらえて何とか笑って見せた。



「気をつけて…!」




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