夜をすり抜けて
「他のドライバーも仕事だから手伝ってはくれるんだけど、結構迷惑顔されるのよ。時間かかるしね」
「へぇー…」
「その点相原君は挨拶も気持ちいいし、イケメンだしね。うふふ」
おばさんは意味深な目配せをしてくる。
あ…はは
―でも、あの人そんな人かな?
かなりの命令口調だったよ?
二枚綴りの納品書の一枚を、おばさんはハンコを押して返してくれた。
その伝票の担当者欄には『相原樹』と印字されていた。
あいはら……じゅ?