夜をすり抜けて
「大丈夫! 親が苦情なんか言わないように、わたしがちゃんとうまいこと話すから」
「へ?」
「まかせといて!」
なーんて張り切った声を出すのは久し振りだ、うん。
「そのかわり…」
ちょっと調子に乗って言ってみる。
「ん?」
「このまま…乗って行ったらダメかな? 電車じゃなくて、明日の夜東京に戻るんで全然いいんだけど。…それは困る?」
「え、明日、学校あんだろ?」
樹は少し驚いた声を出して、わたしを見た。
「別にいいし」
学校なんて辞めちゃいたいくらいだ。
「何だよー、さぼりたいだけじゃん」
なんて彼は笑っている。
別に怠けたいわけじゃないもん!