夜をすり抜けて
「ちょっとデカイよ」
下に降りてそう言うと、樹は荷台の扉を閉めながら横目でこっちを見た。
「ヒモがあんだろ?」
つかつかと寄ってきて、彼はわたしの腰に手をまわす。
ヒェ…!?
スェットを引き上げてちょっと屈み、ウエストのヒモをきゅっと絞って蝶々結びにしてくれた。
小さな子供がお母さんに洋服を着せてもらってるみたい。
近すぎて、なんかドキドキしてた…。
幼児体型の下腹部を、今必死でへこませている。はは…
「ほらな、これで大丈夫だ」
得意げに笑った彼の顔はあどけないくらいに可愛くて
一瞬見とれる自分がいた。
火のように真っ赤になったわたしを見て、樹は若干うろたえて運転席の方へと行ってしまった。