夜をすり抜けて
大人と子供の真ん中
「のぼれるかぁ、これ」
大きく声を掛けられる。
「え、平気! 全然」
大型トラックなので座席が異様に高く、ホントによじ登る感じで助手席へとたどり着く。
横を見ると、運転席にはもう樹が座っていた。
「あ」
目の前にバンと、H系の雑誌が置かれている。
グラビア娘たちのまばゆい感じのやつじゃなく、もろストレートにいやらしげな表紙。
「わ」
樹は超高速でそれをつかみ、座席の後ろにバスッと突っ込んだ。
それから素知らぬ顔でエンジンを掛けて、ミラーを確認しながら車を出す。
「心配すんな。お前みたいな子供に何かしたら、少女淫行で捕まるし」
前を見て運転しながら樹は言った。