夜をすり抜けて
えー…
ああいう本、実物初めて見たよ。
しかも“少女淫行”って何…?
ちょっと沈黙。
取り合えずわたしは制服をたたみ鞄にしまうと、落書きの面が見えないようにそれを足元に置いた。
「さっきの電話で真琴のお母さんに、俺の家の住所とか会社の住所や電話番号、全部言わされたんだぜ」
運転しながら樹が言った。
「え、ホントに?」
「メモりましたのでご承知おき下さいってさ」
「どういう意味?」
「この子に何かしたらただじゃ済まさないわよって意味」
あ…そうなの?