夜をすり抜けて
「おっしゃー! 何買ってもいいぞ。
バンバンかごに入れろ」
樹が張り切って号令をかける。
「あの、わたしお金ないよ?」
「バーカ、何を今更気ィ遣ってんの?」
……ホントに今更だよね、ここまで面倒かけちゃって。ゴメン、樹。
わたしは玉子のロールパンとレモンティのペットボトルを、樹のかごにそっと入れた。
「お願いします…」
「は? お前それだけ?」
「え、うん」
「途中で寝ちゃったら、これが晩飯になるかもだぞ。腹減るからもっと買っときな」
「いや大丈夫だよ」
「お前大きくなれねーぞ。お菓子でもデザートでもいいから選んで来い」