夜をすり抜けて
「トイレ大丈夫か?」
パーキングエリアが近づくたびに、樹は訊いてくれる。
あの写真のように、この人きっといいお父さんになると思うね。
運転席横に置いたコンビニの袋に手を伸ばして、樹はカレーパンを取った。
口を使って片手で袋を開け、むしゃむしゃとそれを食べている。
そっか、ハンドルから手を離せないから、片手しか使えないもんね。
だからシュッとかしないで食えるやつ、だね。
「真琴、おにぎりも食えよ」
「もう食べたし。明太子のやつ」
やっぱパンだけじゃ足りなくって、つい…
「よし、いい子だ」
なんて樹は言った。