夜をすり抜けて
「彼女、可愛いね。家出中?」
「ち、違います」
「心配しないで。通報したりはしないから」
後ろからも声がかかる。
驚いて振り返ると、若くてチャラチャラしたのがあと二人、ニヤついた顔をして立っていた。
合計三人。
「さっき家出少女って言われてるの聞いちゃった」
「もしかしてヒッチハイクとかしちゃった系?」
「あの男ならもう車んとこまで引き上げたぜ」
「あんなヤローよか、俺らの車でドライブしようよ」
「どこでも行きたいとこ連れてってやるよん?」
な、何? この人達…
その中の一人にグイッと腕をつかまれた。
あとの二人がわたしを覆い隠すようにぴったりと寄り添う。