夜をすり抜けて
「だけど、やっぱお前一発で家出少女だってわかっちまうんだな」
パジャマみたいなスェットの上下に身を包んだわたしを、樹はしげしげと眺めた。
「違うよ、樹がそんなこと大声で話すからじゃん。それ聞かれてたんだから」
「えっ、言ったっけか、俺」
「言ったし!
でも…あんま尖ってないんだね。喧嘩になっちゃうのかと思った」
感じたことをそのまま口にした。
「ああ。…言ったろ? 俺は大人だって。
向き合うのもばかばかしい奴がいるんだよ、世の中には」
「…そうだね」
ほんとにそうだ。