夜をすり抜けて
「見ず知らずってこともないだろ?」
「じゃ、ちょっと知りあったばっかのガキが何か面倒くさいこと言ってんなーって感じ?」
「お前なぁ、何やさぐれてんだよ」
樹が軽く笑った。
「別に」
慌ててわたしはそっぽを向く。
そんなわたしに樹が言った。
「どーだってよくないし、面倒くさくもないよ。これでいい?」
「…聞き流したくせに」
「お前が“ほっといてくれオーラ”を出すからだろーが」
出した…けどね。