夜をすり抜けて
オーラはしょっちゅう出してるみたい。
お母さんの他にも、同じテニス部で別のグループのサホちゃんって子が「大丈夫?」ってよく訊いてくれる。
何か感づいてるんだろうけど、わたしはいつも「へ、何が?」なんて返してしまうんだ。
“悪ふざけしてるだけだけど、何か?”
みたいな顔をして “ほっといてオーラ”を出しまくっている。
イジメられてることを知られるのが恥ずかしくて、そんな惨めな人間だと思われたくなくて…
素直じゃないし可愛くない。やなヤツ。
――ダカラ、キラワレルンダ…
思考はそこへと行きつく。
「で? 何を悩んでるわけ?」
優しくて大人の樹は、こんな言いがかりにもつき合ってくれる。
いや、わたしがつき合わせてる。
あーあ、泣きそうだよ。自分が支離滅裂で…