夜をすり抜けて
「…死にたいよ」
「は?」
「だったら死んだ方がマシだもん」
「何言ってんだよ、脅迫か?」
「死にたい、死にたい、死にたい…っ」
「お前なぁ」
樹はあきれたように溜め息をついた。
「しっかりしろよ」
彼の声に苛立ちが混じる。
「……だって、バカみたいなんだもん。
こんな世の中バカみたいだ」
「はいはい」
「一人になって、新しい友達できて…
で? どうなるの?
今度はその友達に嫌われないように、ビクビクしながら生きるわけ?
人の顔色うかがって、鼻につかないようにセーブしながら付き合うの?」
「…真琴」