夜をすり抜けて
「あとどのくらい残ってるの?」
「あと5年間毎月給料の半分強を返してく」
「ご、5年? 半分…強?」
「トラックを売って足しにできるのかなと思ってたら、それはもう売られちゃった後でさ」
「え?」
「失踪する前に佐伯さんが売っ払ってお金に換えてた」
「で、そのお金は?」
「さぁ」
「そんな…」
「あの人、奥さんと小さな子供が二人いて…
守んなきゃいけないし必死だったんだろ。
こっちは気楽な独り身だしな」
何とかするさ、と樹は言った。