夜をすり抜けて
1か月どれくらいのお金があればどの程度の生活ができるのかとか、わたしはよくわかんない。
お給料の半分以上を借金の支払いにあてるということが、どんだけキツイことなのかも正直見当がつかない。
だけどもそれがあと5年。
「結構ハードな日々だぜ」
「うん…」
「女にも振られた」
あ…
「写真の元カノな」
と樹は笑った。
「四年間つきあって、まさか借金が原因で別れることになるなんて思ってもみなかった」
「で、でも、樹が悪いんじゃないのに」
思わず言葉に力が入る。