夜をすり抜けて
「お前、俺のことガキだと思ってんな?」
可愛い訊き方をする。
「お、思ってないし」
「えらそうなこと言っといて、自分は超しょぼいじゃん、とか思っただろ、今」
「思わないよ。だいたい借金だとか保証人だとか、そんなダークなワードうちらの世界には出て来ないもん。樹は大人なんだなって実感したし」
「そこかよ!?」
神妙に答えたのに、なぜか樹はおおいにウケて楽しそうにケラケラと笑った。
えっと…
きっとわたしの発言が間抜けすぎて笑われちゃってんだとは思うけど
それでもやっぱ
樹が笑ってくれてよかったな…
なんて思う。