夜をすり抜けて

「少女淫行っ!!」


やっとひらめいたアハ体験に興奮して、わたしはクイズ番組で回答するがごとく大声を張り上げた。


ぶっ、とその瞬間、樹がご飯粒を噴き、辺りがシンと静まり返る。


見ると周りの人達は皆こちらをうかがっていて、ていうか皆、樹をジトーって犯罪者を見るような目つきでにらんでいた。



「覚えとけ、バカ」


赤くなりうつむいた樹はガーッとカツ丼をかっ込む。


わはは、ゴメン。





「あれー? 樹じゃん」


そのとき頭上から男の人の声がした。


「おおっ、祐二」


どうやら樹のドライバー仲間みたい。

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