「おまたせー!いこっ?」

 走ってきた有香が思考をさえぎってくれた。

「いこっか!」


―――

 今日の朝、ユウリに会った。
 正確には、見かけた。有香に恋愛相談をしていた。

「あたしさ、弘樹のこと、好きなんだよね。でもさ、美翔も弘樹のこと好きらしいじゃん?あたし、中学入って初めて出来た友達って美翔だから、ケンカしたくないけど……。
どうすればいいんだろう??」


 ……なんだ。

 弘樹とユウリ、両想いじゃん。

 私ってまるで、引き立て役みたいだなぁ。

 少し涙が出てきて、頬をこするとべたべたしてる。

 苺ジャム?

 情けないなぁ。こういう場面はかっこよく涙をふき取るべきなのに。

 でも、私らしいや。
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