とある男子校のバカ過ぎる日常

言い出したくなる口を、ぐっと閉じる。

「別に。気分だ」

「今まで…そんなことなかったじゃん…」

辛そうに顔を歪ませる芽衣。

俺の胸が、チクッとした気がした。

「知らねーよ。今までなんて覚えてねぇ」

「何で!!…何で急に…」

泣きそうな声で言うな。
イライラが増す。

「マジうるせぇ」

俺はそう言い放つと、芽衣の立っていた教室のドアを限界まで開け、横を通り抜けた。

「湊爽緒…!!」

芽衣の声に振り向かず、俺はひとりになれる場所へと向かった。

折角のイケコンの日に、何やってんだ、俺。

芽衣は悪くねーのに。
全部話して楽になればいいだろ。

…けど、出来ないってことは…

「俺も、芽衣に情が湧いたな…」

俺は自嘲気味にそう言い放ち、階段を駆け上った。



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