幸運の器~Another Stories~
僕は思い切ってドアを開けた。

そして、そこに一つの人影を見つけた。

後ろを向いているけど、僕にはすぐに誰だかわかったんだ。

「佐藤さん……」

そう、そこにいたのは綾子ちゃんだった。

僕は綾子ちゃんだけは絶対に違うと思ってたから、もしかして別の人を待ってるのかなと思った。

「どうしたの、佐藤さん?」

綾子ちゃんが振り向く。

大事そうに小さな包みを胸に抱いて、僕のことをまっすぐ見ていた。

「匠君、来てくれたんだ。ありがとう」

どうやら、手紙の主は綾子ちゃんで間違いないようだった。

「う、うん。でも、何?」

僕はそっけない態度しか取れない。

どう接していいのかわからない。

「ごめんね、急に呼び出して。でも、どうしてもコレ、渡したくて」

そういって綾子ちゃんは大事そうに抱えていた包みを僕に差し出した。
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