幸運の器~Another Stories~
結局、きっかけは悠斗なんだ。

悠斗は僕にないものを全て持っている。

悠斗は僕に幸福を施す。

僕の中の黒いものはどんどん大きくなっていく。

そして、それはついに弾けた。


「佐藤さん、ありがとう。僕も佐藤さんのこと好きだよ」


弾けた後には、暖かい光が残った。

何だろうこのあったかい気持ちは。

僕は今すごく幸せなんだ。

それまで緊張していた僕は、はじめて辺りを見渡した。

屋上にはキレイな夕焼けが広がっている。

ああ、何て世界は美しいんだろう。

ああ、何て人間は暖かいのだろう。



ああ、僕は悠斗と出会えて良かった……。


~匠君の憂鬱 完~
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