幸運の器~Another Stories~
掟(全6P)
龍ヶ崎一族は代々百目鬼家に仕えてきた。

俺がその八代目になる。

百目鬼家の現当主は、百目鬼泰治(やすはる)様。

泰治様は、俺のことを本当の子供のようにかわいがってくれている。

俺もその恩に報いるために、あらゆる試練も潜り抜けてきた。

一日も早く泰治様の手足となりたかった。

なぜなら泰治様は、百目鬼家の宿命について悩んでいたからだ。

人の『幸運の器』を奪って自分の命を永らえる、つまりは人の命を吸って生きるという宿命を。

泰治様は、様々な古文書を読み漁ってはどうにかこの宿命から逃れる術はないか探していた。

良い解決策が見つからないまま、泰治様の婚礼が決まった。

相手は、百目鬼家の分家の玲子(れいこ)様だった。

先代の隆之(たかゆき)様は、昨年亡くなられた。

その隆之様が泰治様の結婚相手として選んだのが玲子様だ。

隆之様としては、より一層百目鬼の力を強くするために、同じ血筋である玲子様を選ばれのだろう。
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