幸運の器～Another Stories～
しかし、泰治様はそれに納得されず、どこで探されたのか自分はこの人と結婚するといって、ある日一人の女性を連れてきた。

当然のごとく、百目鬼家の本家・分家問わず大反対にあった。

それでも、泰治様は屈せず根気よく皆を説いてまわってその女性との結婚を了承させた。

泰治様は、とにかく百目鬼の血を薄くしたいと考えたのだ。

そのためなのかはわからないが、泰治様が選んだのはドイツ人のエレナ様だった。

エレナ様は、それはそれは美しく聡明な女性で、お二人は本当にお似合いのカップルだった。

エレナ様も俺のことを使用人としてではなく、泰治様と同様実の子供のようにかわいがってくれた。

俺はそんな泰治様とエレナ様、お二人をどんなことをしても守ると誓った。

エレナ様は、すぐに日本語も完璧にマスターされ、百目鬼家のしきたりもそつなくこなしていた。

幸せな日々がこのままずっと続いていくと信じて疑わなかった。

そしてそんなある日、お二人に更なる幸せが訪れた。

それは、エレナ様のご懐妊。
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表紙・目次

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