幸運の器~Another Stories~
そのときばかりは、百目鬼家総出で祝賀ムードになった。

特に大きな不安もないままお腹の子供は順調に育っていった。

そして、ついに産みの月。

そこで、俺はあることに気がついた。

今年は、泰治様が器を摂取するための7年に一度の年。

でも……。




俺の憂慮など関係なく、泰治様とエレナ様の子供は元気な産声を上げて産まれた。

お産は、百目鬼家の母屋で行われた。

俺は、泰治様に立ち会うように言われていたので、その瞬間はしっかりと目に焼きついている。

その子が、取り上げられ産声を上げたその瞬間何かが弾けるのが見えた。

いや、見えた気がした。

あまりに一瞬のことだったので、いったい何が起こったのか良くわからなかった。
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