愛の療法
食事も終わり、私達は車に乗ろうとしていた。

道路は雨でぬかるんでいた。
私が歩いて車のドアを開けようとした瞬間・・・足が滑ってしまった。


「キャ・・・ッ!!」
こけちゃう・・・・!!!


そう思った瞬間いきなり石井先生に抱きとめられた。
「石井・・・先生・・?」
私がそう言うと石井先生はまた優しく微笑みながらこう言った。

「危ないですよ。雨で滑りやすいので気をつけてくださいね。」


その優しい瞳に私は捕らえられてしまった。
急に早くなる鼓動。


ドキドキ・・・・



「ママ?早く乗らないとぬれちゃうよ?」
私はその啓介の言葉でやっと正気に返った。


「あっ・・・うん。」
私は無理やり笑ってみせた。




私は石井先生が気になっていることを自分で気付かないようにしていた。
< 15 / 85 >

この作品をシェア

pagetop