愛の療法
啓介は発作も止まり、ベットで寝静まっていた。
そして診察室には・・・私と先生の2人っきりになった。


なぜか意識してしまう私と・・・気にもとめず笑いながら話をする先生。
ぎこちなくて私は思わずうつむく。


「お母さん?どうなさいました?」
心配して私の顔をのぞきこむ先生。
「いえ・・・なんでもないんです。」


そんな私を不安がっていると勘違いしたのか、先生は私の手を優しくとり、握ってくれた。


「先生・・・?」
私がびっくりしていると先生は笑顔で言った。
「大丈夫ですよ。啓介くんは大丈夫ですからね。これから僕達で努力していけば必ず直りますからね。」
「あ・・・はい。」



握られている手が熱い。
私の顔も赤く火照っている。
それを見られないように私はますますうつむいた。



啓介は寝ているがすぐ近くにいて、私はなぜか悪いことをしている気分になった。
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