愛の療法
時計を見るともう11時を回っていた。


「今日はどうなされましたか?」
そう聞く医師の先生はとても若くて優しそうな男性だった。


「あの・・・寝ていたら急に息子が苦しいと言い出して・・・。」


私がおろおろしていると先生は
「大丈夫ですよ。落ち着いてください。」
そう言うと微笑んだ。



その笑顔を見ると・・・今まで張り詰めていたものが一気に切れて、ほっと肩の力が抜けた。


「名前はなんていうの?」
「けいすけ。」
「啓介くんか。じゃあ大きく口を開けてくれる?」

その先生は小児科の先生らしく子供の扱いにも慣れているようだった。
普段は病院で先生と向き合うと泣き出してしまう啓介も落ち着いているようだった。



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