愛の療法
その後も2人で手を繋いだまま買い物をしたり、楽しく過ごした。


「結衣さん。」
突然名前を呼ばれ、私が振り向くと透先生は微笑むとこう言った。
「そろそろ帰りましょうか?啓介くんもきっと寂しがってますよ。」
「そうですね・・・。」
私は笑顔で答えたけど本当は心の中では嫌だとつぶやいていた。


私の寂しげな笑顔に気付いたのか、先生は私を見つめると少し困ったような表情で微笑んでみせた。




そして少しの間私達は見つめ合っていた。
ゆっくり顔が近付いていく――・・・・。


そしてどちらとも言わず唇を合わせた。
優しく触れるだけのキス。
触れている部分はほんの少しだけのはずなのに・・・こんなにも頬は赤くなって胸は高鳴る・・・・。




そして静かに唇を離すと私はうつむいた。
私の仕草を見て先生は慌てて言った。
「すっすいません・・・!!」
「いえっ違うんです!!私・・・先生のことが・・・。」



そこまで言いかけたところで先生の目が遠くの方へ行った。
「結衣さん・・・あれって・・・もしかして啓介くんじゃあ・・・??」
「え・・・??」







そして私が振り向いた先にはとんでもないものが待っていた――・・・。
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