愛の療法
「ママー今日は病院に行く日だよね??」
「そうだよ。先生に会えるね。」
私は昨日のことを思い出し頬を染めながら化粧をした。


「でもねママ、僕最近苦しくなくなったよ!先生のおかげだねっ!」
啓介は天使のような笑顔で私に微笑みかける。
「そうね・・・もうすぐ病院に行かなくてよくなるのかもね・・・。」

私は遠い目をして答えた。



「ねえママ、なんで先生はパパになれないの?」
啓介の穢れのない瞳に見つめられると私はなんと答えていいのかわからなくなり、目をそらした。

「ねえママ、なんで?」
「先生はお仕事が忙しいのよ・・・。」
それでも啓介は納得していないらしく私の服の裾を掴むと涙声で言う。


「でも保育所の先生が好きな人同士は結婚できるって言ってたよ?ママも先生も好き同士だから結婚できるんでしょ?僕先生がパパになってほしい!」


純粋な啓介の言葉を聞いて私は震えた。

「け・・啓介。先生はパパにはなれないのよ。なれないの・・・・。」
そう言うと私は立ち上がって啓介の手を引っ張った。
「もう行くよ。」

はぶてる啓介を無視して私は玄関へ向かった。


本当は私がはぶてたいくらいだよ・・・。私だって結婚したいって思ってる。だけどそれが無理だってことくらい・・・私はわかってる。


< 35 / 85 >

この作品をシェア

pagetop