愛の療法
「最近変わったことはありませんか?」
先生は私に目を合わせず聞く。

「いいえ。」
「このまま順調にいけばもうすぐ治るかもしれませんね・・・・。」


先生の言葉に私は凍りついた。


もう・・・先生に会えなくなる・・・。


「やだよお・・・・。」
啓介は泣きながら先生の腕にしがみついている。


先生は優しく笑って啓介の頭を撫でる。
「これで幼稚園の皆と同じように遊んだりできるんだよ?もう薬だって飲まなくてもいいんだよ。」

先生がそう言っても啓介は聞こえていないかのように泣き続ける。
私も泣きたかった。
でも、泣かなかった。



やっと先生と愛し合うことができたのに・・・。私の過去のことをわかってくれる人・・・私にはこの人しかいないのに・・・・。



その日、私と啓介は泣きながら家に帰った。
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