愛の療法
啓介はずっと目を擦りながら声をもらしながら泣いている。
私も啓介にわからないように声を出さずに静かに涙をこぼした。

すると急に啓介が私の方を向いた。
「ママも泣いてるじゃん・・・。先生にパパになってほしいくせに・・・。」
啓介は泣きながら口をとがらせて言った。


「違うもん・・・。」
私は子供のようにはぶててみせた。

2人共子供のように泣いた。
啓介は子供だけど。


「ママの馬鹿・・・僕にいっつも嘘ついちゃだめって・・・意地張っちゃだめって・・・言うくせに・・・ママの嘘吐き・・・意地っ張り・・・。」

そう言って泣きながら啓介は私の腕にすがりついてきた。
私も泣きながら啓介と手を繋いで家まで帰った。



きっと周りから見たら変に思われていただろう。
でも私はそんなこと気にならなかった。
そんなにも先生のことを愛していたのだ。
自分でも気付かぬうちに・・・・。



先生と出会って・・・もうすぐ1年になろうとしている。
たった1年の間に先生は私と啓介の中でとても大きな存在になっていた。



1年ってこんなに早かったっけ・・・・?
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