愛の療法
「話って・・・なんですか?」
高鳴る胸を抑えて聞いた。


「啓介くんのことなんですが・・・・。」
それを聞いて一気に私の胸の鼓動は収まった。


なんだ・・・そっか・・・そんなの期待する私がおかしいんだよね・・・・馬鹿みたいだ・・・・。



「発作が出るのはいつも結衣さんがいないときなんです。それで、啓介くんは発作が出たときにいつも結衣さんに傍にいてほしいみたいなんです。だから・・・発作でたときにはお伝えしますから・・・もしお時間ありましたら来ていただけますか?」

「あ・・・はい。」

期待した自分が恥ずかしくて私はうつむいていた。
「あの・・・だから・・・携帯番号教えてもらっていいですか?」
「えっ!?」

さっきまで落ち込んでたのに・・・先生の言葉だけで頬が赤くなって一喜一憂して・・・先生に振り回されてるみたいだよ。


「あ・・・無理なら家の番号でもいいんですが・・・・。」
「えっ!!違うんですっ!!携帯の方で大丈夫ですっ!!!」
私は興奮して叫んでしまって、周りのナースさんや患者さんに注目されてしまった。



「あ・・・。」
恥ずかしくて私はまたうつむく。

私のぎこちなく差し出した手を先生は優しく握ってくれた。
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