愛の療法
「あの時だけのことじゃなくて・・・前からずっと好きでした。医師が患者に手を出してはいけないこともわかってます。でも・・・好きなんです。」



先生の突然の告白が私は信じられなかった。
「えっ・・・!?ウ・・・ソっ!?」

その途端また涙がこぼれてきた。


「本当です。抱いたことへの責任でもなんでもありません。ただ・・・結衣さんのことが好き・・・それだけなんです。」


眼鏡の奥にある真剣な瞳に見つめられて私は骨まで蕩けそうになる。


「私・・・も好き・・・です。」
泣きながらやっとそれだけを言った。

その瞬間先生の表情が明るくなったのを感じた。


「よかった・・・ずっと・・・不安・・でした・・・。」
そう言いながら先生は優しく私を抱きしめてくれた。



すると私の胸から・・・甘い甘いはちみつみたいな感情が溢れてくる。
これが愛しい・・・って気持ちなの・・・??




あったかくて・・・甘くて・・・でも少しすっぱくて・・・全てが私を満たしてゆく・・。




好きな人と結ばれるってこんなに幸せなことだったんだ・・・。





< 54 / 85 >

この作品をシェア

pagetop