形振り構わず愛をくれ!
「あの、若…でも……」
「口答えは許さん!!」
このままでは苑条さんの立場が無いと、すぐさまフォローを入れようとした矢先から頭ごなしに怒鳴られ、私はビクリと身を縮こまらせた。
流石に能や狂言もたしなむ若だけあって、その声量は半端じゃない。
「とにかく、これから学校の登下校には送迎車を用意する。行きはもちろんのこと、放課後も遊び禁止だ!いいな!?」
「……はい」
「若、待って下さい。それは、いくら何でも酷じゃありませんか」
どことなく釈然としないまま頷いた私の気持ちを代弁するように、苑条さんが再び話の中に割って入って来てくれる。
「若、17歳と言ったらそりゃあもう人生の花盛り!青春ってやつでございます。そんな貴重な時間を異性との遊びに使わない手なんて……」
「苑条さん、黙って」
これ以上、事態をややこしくして欲しくないのに、わざとなのかうっかりなのか解らないけれど、苑条さんはそんな火に油を注ぐような事を言う。
「……ほう」
案の定、私を見る若の目が急速に冷たくなっていく。